＜２０００年６月＞

 

高速道路でＧＯ！ 　  　現在の走行距離は２０００ｋｍ。慣らしも終えたし１０００ｋｍ点検も済ませた。 　当然オイルとフィルターも交換済み。タイヤの皮むきも終了したし、そろそろ「普通に」走るとどんな感じだか試してみよう。  　平日の夜、会社の終わった夕方、隼のエンジンを始動する。 　帰宅を急ぐ車で混雑した市内を縫って走る。信号待ちで先頭へ抜け、ふとバックミラーで後ろを確認すると同じ隼がいる。「お～、９９式の赤黒だぁ」 後ろも気付いていたようで、しばらくつるんで走る。 　互いに前になったり後ろになったり。別れ際、手を振ってくれた隼にホーンで返答する。うむ、善哉善哉。 　ＩＣから高速道路。トラックは多いがさほどの交通量ではない。 　さて、それでは「普通の加速」を試してみよう。３速３０００ｒｐｍでゆっくりとランプを登り、本線合流とともに８０００ｒｐｍまで加速、以後同じ回転数を目安にシフトアップしていく。 　「ズォッ」という排気音と共に隼は速度を上げる。 　５０００ｒｐｍあたりで微振動、これは慣らし中にも確認済み。そこから一気に回転が上がる。 　８０００、チェンジ、８０００、チェンジ、の繰り返し。ほんの数秒で速度は一気に３Seigen（意訳）へ到達する。 　速度感はまったくない。耳元で唸る風切音以外は平穏そのもの、Ｖ－Ｍａｘで１．５Seigenあたりで流しているのと感覚的には同一だ。 　高速道路を走る一般車が、はるか彼方から猛烈なスピードで前に迫ってくる。 　トラックを追い越す時にはその速度差からくる乱気流で車体が震える。しかし不安感はない。恐るべき剛性感だ。 　一旦ＳＡへ入りクールダウン。一息ついて再度本線へ合流する。 　今度は前方後方を確認の上、レッド直前まで回す「フル加速」を試してみる。 　１～２速へはゆっくりとシフト。そこからスロットルを全開にする。 　充分気をつけてはいたのだが、ふわりと軽くなっていくフロントタイヤ。 　11,000rpmで３速へシフトアップ、同時に今度は確実に前輪が浮き上がる。 　ちょっとパーシャルで我慢して、前輪接地とともに再加速。３速10,000rpmで速度は2.5Seigen、そして４速、更に５速・・・ 　先程に輪をかけた恐ろしい勢いで隼が加速して行く。ギアを上げても加速感はまったく衰えることがない。 　視界は楕円状に狭まり、前方にちらりと見えたテールランプが恐ろしい速度で迫ってくる。最右車線をハイビームのまま突っ走る。ごぉっと唸る風切音・・・ 　スピードメーターの針はまだ真横さえも向いていない。しかし、ギアを６速へ叩き込んだ辺りで精神的に限界となる。さしもの高速道路もこれ以上の速度は（俺の腕では）不可能のようだ。 　メーター読み3.5Seigenは自己最高記録だが、エンジン＆車体はまだまだ余裕。 　本当の最高速チャレンジには場所を慎重に選ぶ必要がありそうだ。

峠でＧＯ！ 　日を改めて休日の朝。山へ持って行って峠の走りもチェックしてみよう。 　１６００ｋｍの時に一度峠へは持ってきていたのだが、その時は自分を慣らすのが精一杯。今日はその時よりはじっくりと乗り込んでやる事が出来そうだ。 　前回の時と同じように、まずは３速固定で走ってみる。 　さすがに登りのトルクはまったく問題がない。一番曲がり込んでいるヘアピンの立ちあがり（しかもかなりの登り）でも３速のままで余裕しゃくしゃく、１３００ｃｃの排気量の本領発揮と言ったところだろうか。 　比較的長めの直線からのブレーキング。もちろん２１０ｋｇの車重では、２５０ｃｃのＶγのような突っ込みは望むべくもない。ブレーキ系にやっとアタリが出てきたとは言うものの、高速域重視のパッドは峠だと初期応答性、コントロール性共に今一つ。やはり「攻め込む」のなら市販のものと交換してやった方が良さそうだ。 　コーナーリングは、基本的に直線の車体の起きているうちに減速を終了し、コーナーの奥でバンクさせ、マシンを起こしてからフル加速に移るのが一番効率が良いように思える。 　もっともこれは「ライダーズクラブ誌」の記事からの受け売り。確かに、この通りに走ると楽な事は間違いない。もっとも今の俺のペースはコーナーリング云々を言えるような物ではないのだが（笑） 　面白い事に、この乗り方はＶ－Ｍａｘに共通するものがある。 　比較的重心が低く、車重のある隼。似ているといえばそう思えない事もない。まあ、あくまでも「どちらかといえば」レベルの話、ブレーキングもコーナーリングスピードも、Ｖ－Ｍａｘのそれとは到底比べものにならないのだ。 ＃なるようでも困るが(爆) 　バンク角は必要充分。サーキットへでも持って行けば別だろうが、一般道ではステップを接地する心配はなさそうだ。 　もっともまだ慣らしが終わったばかり。もう少し馴染んできて、サスが落ち付き車高が下がるような事があるとまた違った感触になって来るかもしれない。「ステップと車体が同時に接地する」との情報もあるので今後も注意していく事にする。 　高速道路でも感じた事だが、剛性感は一級品だ。 　コーナーリング中にギャップに乗ろうが、立ちあがりで多めにスロットルを開けようが、フレームはびくりともしない。 　標準のセッティングのままなので相変わらず硬めのリアサスだが、峠では不快感がない。 ＃首都高速等ではコツコツ感が気になった。 　先述の通りギャップに乗っても安心していられる。リアブレーキをちょっと多めに掛けるとホッピング（というかロック）が出やすいが、これはサスのせいなのかブレーキのせいなのか？ 　まあペースがペースだ。もう少し上手な人が乗ればまた違った感想が出る事だろう。 　２本目からは、２～４速を使ってペースを少々上げてみる。 　とはいえ、本当は４速は使わなくても良いのだ。３速10000rpmで2.5Seigen出てしまうのだから。 　さすがに２速だと、ヘアピンの立ちあがりでスロットルを開けるのに気を使う。 　１９０サイズとはいえ、あっという間にリアタイヤがスライドをはじめてしまう（ような気がする）のだ。 　ちょっと後輪荷重にしてワイドオープンすると、今度はフロントが軽くなってくる。 　大トルクマシンの場合、下手にシフトチェンジを繰り返すよりは、多少低回転でも高いギアで乗った方が峠ではスムーズに走れるのかもしれない。 　街中では低めに感じたハンドルだが、そこそこ攻め込む時にはさすがにぴったりとくる。 ＃その分ステップが前に感じたりもするが。 　峠スペシャルを目指すわけではないのでハンドルはおそらく交換してしまうと思うが、やはりこの手のマシンは峠での楽しさをスポイルしたくない。 　ハンドルの選択時にはそれを忘れないようにしておこう。 　走りこんでいくと次第に膝の裏側が痛んで来る。 　太股が痛む（疲れる）のなら話は判るのだが何故膝なのだろう？膝の曲がりがきついのか？あれだけステップの高いＶγでもなんともないのに不思議な事だ。　 　ともあれ、２時間ほど楽しく走り回る。 　やっと少しは馴染んだかな？という気はするが、マシンに「乗せられている」状態は変わらない。 　乗りこなすにはまだまだ時間と腕が必要のようだ・・・