YAMAHA V-Max

＜２００１年８月＞　その１

 

田舎だと材料がなかなか・・・ 　過日、友人より連絡が入る。 　「例の太めの網線と、熱収縮チューブが手に入ったけど、要る？」 　「要る、是非要る」（←日本語変） 　何に使うかと言えば・・・もちろん、なんちゃってノロジーの為である。 　「ノロジー・ホットワイヤー」という製品をご存知だろうか？これはいわゆるプラグケーブル（＆キャップ）なのだが、ケーブルの周囲を網線で囲み、その効果（コンデンサーがどうとかこうとか…）により、より強い点火が得られるという能書きの製品なのだ。　 　この商品、バイク系はもとより４輪の業界でもあちこちで話題に上るのだが、あまり悪い噂は聞こえてこない（プラグとの相性はあるようだが） 　となれば一度は試してみたいもの、だがなにせ４気筒分用意すると３万円かかる商品だ、そうそう簡単に購入できるものではない。 　ところで、その「アース効果」だけに限って言えば、素人工作でもそこそこの効果が得られるようなのである。 ※インターネットで「なんちゃってノロジー」で検索すると、結構な数ＨＩＴする。 　自作すれば費用は激安、「一度試したいよなぁ・・・」とかねがね考えていたのだ。 　適用するのはもちろんV-Max。製造後１０年を過ぎた電気系はさすがにちょっとくたびれ気味。プラグケーブルは一度交換したし、ジェネレータ端子も磨いた。他にもあれこれ手をかけてはいるものの歳相応の感は否めない。さて、多少なりとも効果が出れば良いのだが。
んでは作りますか。 　その１：プラグケーブルを外す 　これは比較的簡単である。後ろバンクのプラグケーブルは、シートを外し、コネクタを緩めるだけでＯＫである。 　前はちょっと手間がかかるが、ダミーインテーク、ダミータンク、エアクリーナーボックス、左側の電装パネルを外せばコネクタが現れるので、これを緩めればＯＫ。 　但し、双方共「外すはよいよい付けるは恐い」ので覚悟が必要だ。 ※前回のケーブル交換で懲りている。 　外したプラグケーブルをチェック、ケーブルは交換してさほど経っていないのできれいなもの、キャップは・・・さすがにちょっとくたびれ気味、そろそろ交換時期か？ 　その２：プラグケーブルノロジー化 　まずは網線。これはプラグケーブルより太くて導体ならなんでも良いのだが、できるだけ網の目の細かいものの方がよいらしい。 ＃ＴＶのアンテナ線（同軸ケーブル）の中身でも代用できるようだが、今回は「ちゃんとした網線」を使用した。 　網線の途中、適当な位置にボールペン等で穴を空け、そこへプラグケーブルを差し込み、位置を固定する。 　キャップのちょい手前まで巻ければ十分だろう。先端をあまりキャップに近づけるとリークしやすいとの事だ。 　位置が決まったら、網線の上に熱収縮チューブを巻き、ライター等（今回はハンダゴテを使用）で熱を加えて密着させる。 　網線の反対側の先は撚っておき、先端に端子を圧着する。 作業はこれだけ、実に簡単なものだ。
ケーブル装着。 　さあ、組み込もう。 　元通りにするだけとはいえ、先述のとおり前バンクへの取りつけが非常に面倒臭い。外す時とは異なり、しっかりとケーブルをさし込む必要があるためである。 ＃いくらケーブルに小細工しても、取り付けでミスったら元も子もないし・・・ 　あれこれこねくり回して装着完了、くれぐれも左右の取り付け位置を間違えない様に注意すべし。 　 さて、プラグケーブル網線の端子がぶらぶらとしている。これをアースしなければ意味がない。 　プラグはシリンダヘッドにアースされているはずだ。ここに近い方が効果が上がるはずなので、左右それぞれＹ字カバーの取り付け部に端子を接続する。余った網線はトラブルにならないように、多少の余裕を持たせた上でフレームへタイラップで固定。さあ、これで完成である。
その効果やいかに？ 　どれどれとエンジンをかけてみる。 　う～む・・・なんかアイドリングが不安定なんですけど(爆) 　きっちり同調をとってあったはずのキャブだが、あきらかにバランスが崩れている。但し弱い感じはしない、これは・・・なにかしらの効果が出たと見るべきであろう。 　街中を一回りしてみる。キャブはバラついているが、なんとはなしに力強い。プラシーボ効果かもしれないが、少なくとも悪い感じではない。 　残念な事に今回はここまでで時間切れ。 　今回は比較研究の為他の部分には一切手を加えていないが、今後プラグを新品にし、同調を取りなおす予定である。 ＃プラグキャップはどうしようかなぁ？ 　その後、もう一度レポートする予定、まぁプラグを新品にすればどんなバイクでも調子は良くなるんだけどね(笑)

 

ちょいと予定を変更して。 　・・・と言う訳で、その続き。 　さて、秋のイベント続きでメンテの進まなかったV-Maxだが、実は先日のHOTDOG便乗キャンプオフの帰り、雨の中で失火をおこすというトラブルが発生した。 　アイドリングは大丈夫だが、加速しようとするとトルクが感じられない。２気筒か３気筒にでもなってしまったような症状は、一昨年の「四国ツーリング」の雨中走行の時とまったく同じである。プラグケーブルを交換して一度は収まったのだが、どうやら別の箇所でのリークが始まってしまったようだ。 　となれば原因は・・・前回書いた「＃プラグキャップはどうしようかなぁ？」であろう。 　このプラグキャップ、前回書いた通り、１０年以上使っているだけに見た目からして相当にくたびれている。 　前回のレポートでは比較の為そのまま使用してみたが、さすがにこの症状では交換しないわけにはいかないであろう。 　購入したのは「ＮＧＫレーシングプラグキャップ＆ケーブル」 　純正品の形に合わせたストレートタイプである。 　当然、プラグもＮＧＫのＶＸを新規購入する。	ＮＧＫレーシングケーブル（ストレートタイプ） ＆ ＮＧＫ　BCPR8EVX
なんちゃって移殖。 　せっかく作った「なんちゃってノロジー」は、もちろん移殖しよう。 　旧プラグケーブルを外し、前回作成した網線を取り外す。 　新しいプラグケーブルは汎用品なので、V-Maxに合わせて長さを揃えて切る。プラグケーブルが長すぎて良い事など１つもないからだ。 　このケーブルには、熱対策用の赤いカバーが付属している。う～む、これも使いたいよなぁ・・・ 　ケーブルに編み線をセットして熱収縮チューブを被せるまでは前回と同様。「この上にカバーを・・・」と思ったのだが、太さがぎりぎりなのでうまく被せることができない。ちょっと考えて、ハンドルグリップを取りつける時の要領でブレーキクリーナーをかけてみたらするりと入っていった。うむ、頭は使うためにあるのだな。 　取り付けも前回と同様。 　ＮＧＫのケーブルは純正品と同じ太さで、今まで使っていたTAILORのケーブルよりは若干細く、接続は比較的楽であった。 　アースの取り付けも問題なし。新しい赤いプラグキャップはなかなかにお洒落である(笑)
おまけにアーシングを 　さて、せっかくプラグ周りを一新するのだ。今回は更にアーシングを施してみよう。 　＜アーシングシステム能書き＞ 　バイク（四輪もだが）の電気系の配線は、豆電球を使った理科の実験のように、バッテリーの＋から～までをぐるりと１周しているわけではない。 　＋側はきちんとバッテリーと繋がっているのだが、～側は、フレームやエンジンなどに繋がれているだけの場合が多いのだ。 　純正のウィンカーには、ケーブルが１本しかないのが判り易い例と言えるだろう。（ウィンカーステー自体が～側としてフレームにアースされている） （＃それでもちゃんと電気が流れるというのがなかなか納得し難いのだけれど（笑）） 　では、何故そんな配線になっているのだろう？ 　「配線が簡単である」「配線ケーブルが短くて済む」等のメリットが考えられる。 　反面、フレームをケーブル代わりにするために発生する（であろう）電気抵抗、本来の～側との電位差等のデメリットもあるに違いない。 　「だったら面倒くさがらずに、アース代わりに使っているフレームやエンジンと、バッテリーの～側をケーブルで繋げばいいじゃん！」というのがアーシングシステムの基本的な考え方である。（多分…）。
とにかくやってみましょう。 　というわけで、早速ケーブルを這わせてみる。 　配線図をチェックすると分かるのだが、バッテリーの～端子とフレームは既に繋がれている場合が多い。（V-Maxも同様） 　今回は、この接続部分から、エンジンマウントにより絶縁されている可能性のあるエンジンの後ろバンクとを、「なんちゃってノロジー」に使ったのと同様の網線を利用して接続しする。 　普通のケーブルでなく網線を使ったのは単に見た目のため(爆) 　本来はもっとあちこちへアースするのだが、とりあえず今回はここ１箇所とする。 　なんの難しいこともいらない、これでアーシングが完了である。 　＜余談＞ 　バイクのアーシングの効果は、四輪ほど顕著には現れない場合が多いらしい。 　バッテリーとエンジン、シャーシーが（電気的に）分離している四輪の場合は、ノーマル状態だと「なんとなく」アースがされている場合が多く、新たにラインを引きなおすことで劇的に変化するのだそうだ。
そしてそして、その効果やいかに？ 　外装を戻してエンジンを始動。近所をぐるぐると回ってみる。 　ををっ、力強いぃ～っ！ 　低速域のトルク感が素晴らしい。今までとははっきりと違いが判る。Ｕターンも楽々、低めのアイドリングでもエンストする気配はない。 　加えて、今まで気になっていた「エンジンが完全に温まるまでの不安定感」がかなり減少している。１１月のこの時期に、エンジン始動直後からそこそこ走れるというのはここ１、２年なかった事だ。 　無論、回せば上（9000rpm超）まできっちりと回る。V-BOOSTも問題なし。 　う～む、こりゃぁ手間暇（＆お金）掛けた価値はあったなぁ。 　効果の要因が「なんちゃってノロジー」なのか「アーシング」なのか「新品プラグ＆ケーブル」なのかは不明だが、これだけ良くなればもうそれはどうでも良いことだ。 　これで雨のツーリングも安心して走れそうである。 　ちなみにこのなんちゃってノロジー＆アーシング、点火が強くなる分、プラグとバッテリーへの負荷も増大するとの事だ。（早い話が寿命が短くなる） 　これからは電気系の点検、交換を、より頻繁に行ってやる必要があるだろう。

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